2005/10/15
今日は「セルティック×ハーツ」に注目!

 ワールドカップ予選を終え、明日から各国のリーグ戦が再開されます。
 この週末の一番の注目は、「セルティック×ハーツ」。中村俊輔が先発出場するはずです。

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 中村俊輔のセルティック移籍で「セルティックってどんなクラブ?」と疑問を持った人もいると思います。無理もありません。スコットランドリーグはマイナーですから。
 でも、セルティックはヨーロッパを代表する「超」のつく名門クラブです。現在のUEFAチャンピオンズリーグの前身、チャンピオンズカップで1度優勝しているのです(1966-1967シーズン)。

 セルティックは、今シーズンからストラカンが監督に就任しました。
 前監督マーティン・オニールの作り上げたセルティックは「3-4-3」の超攻撃的なチームで、2002-2003シーズンのUEFAカップではファイナリストにもなりました。ちなみに、決勝で敗れたFCポルトを率いていたのは、現チェルシー監督のモウリーニョ氏です。
 とにかくアグレッシブで強烈なインパクトを与えたオニール前監督ですが、それとは対照的に、ストラカン現監督の作っているチームはオーソドックスなスタイルの「4-4-2」。まだ馴染んでいないし、選手の特徴とフォーメーションが合ってないような…まあ、前任のオニールのインパクトが強かったので、仕方ないですね。徐々に色が出てくればいいのですが。

 ちょっと気になるのは、センターバックです。レギュラーのバルデとマクマナスのコンビは悪くありませんが、絶対的な強さに欠けます。DFラインを下げ過ぎるきらいもあり、中盤との間隔を空けてしまうこともしばしば。そのスペースを使われてシュートまで持ち込まれることは多く、この辺りは今シーズン解決しなければならない課題と言えるでしょう。
 いずれにせよ、オニール色を払拭するには、しばらく時間がかかりそうです。

 さて、最近の中村はと言うと、相変わらず「守備は×、攻撃は◎」という状態が続いています。
 守備の意識は以前よりも感じるのですが、1対1で相手からボールが奪えません。素早いアプローチからボールを奪われることもしばしば。フィジカル面での適応はまだまだこれからです。
 攻撃については、パスが出しやすそうな印象を受けます。前線の選手だけでなく、中盤の選手も積極的にゴール前へ出て行くので、ラストパスを出すケースは増えたと思います。

 ただ、思ったより中村へパスが回ってこないのが気になります。
 これは、中村がシュートを打たないことも理由かもしれません。中盤でフリーになっている中村よりも、ゴール前でボールを待っているFWへパスした方がゴールに近づくと考えるのは、ヨーロッパならどのリーグでも見られることです。特にセルティックのような名門クラブなら、格下相手にゴールラッシュを期待されるのは当然です。
 もちろん、以前よりシュートを打つ意識は出てきた感じはします。でも、もっと積極的にシュートを打ち、しかもゴールを決めることを望まれています。きっと、この期待に応えてくれるようになるとは思います。もう少し待ちましょう。

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 ここ20シーズン、スコットランドリーグはグラスゴーの名門、セルティックとレンジャースだけで覇権を争ってきました。
 ところが今シーズン、「いつものパターン」が崩れています。レンジャースが9戦で3敗と完全に出遅れ、セルティックはレンジャースに敗れ、無敗はハーツのみ。
 そして今日、首位攻防戦となる「セルティック×ハーツ」が行われます。

 対戦するハーツは、今シーズン負け知らずです。2位セルティックとの勝ち点差は3。
 前節の引き分けが響いて、勝ち点差を縮められたのは痛かったのですが、9戦して6失点。次に失点の少ないセルティックが9失点ですから、抜群の安定感と言っていいでしょう。だからと言って、守り勝っているわけではありません。得点数も23。1試合約2.5点取っている計算です。
 昨シーズンのハーツはリーグ5位で、勝ち点が50(全38試合)。優勝のレンジャースが93ポイントであることを考えれば、ハーツに何が起こっているのか興味は尽きません。

 躍進の理由は、おそらく新監督の就任にあります。
 以前イプスウィッチを8シーズンにわたって指揮を執り、プレミアリーグでその手腕をいかんなく発揮したジョージ・バーリー(George Burley)が6月30日から監督に就任しました。そして、今シーズンの成績…どう考えても、バーリー監督の手腕でチームが生まれ変わったとしか思えません。

 成績不振を理由に2002-2003シーズンの途中で解任され、その後1部リーグ(現イングランド・チャンピオンシップ。実質的な2部リーグ)のダービー・カウンティ監督に就任したものの満足な成績を収められず、今シーズンから母国スコットランドへ舞い戻ってきたようです。

 今日はセルティックのホームゲーム。9月24日、ホームでレンジャースに勝利したハーツですが、アウェーでどんな戦いを見せてくれるか。この一戦が、今シーズンのスコットランドの覇権争いに大きな影響を及ぼすことは間違いありません。
 いや、もっと大げさに言えば、昨シーズンのAZ(オランダ)のように、弱小クラブが一躍ヨーロッパの注目を集める可能性もあります。

 久々に、真面目に見てみたいと思います、この試合。