Bonnie Pinkのニューアルバム「Golden Tears」が9月21日にリリースされました。
今年6月にカバーアルバム「Reminiscence」をリリースしましたが、オリジナルアルバムは昨年5月の「Even So」以来…という言い方も変か、順調にニューアルバムを出してます(笑)
個人的に、女性ボーカルモノはあまり聴きません。ラジオで流れている分には聴きますが、買ってまで聴くのは稀。Alanis
MorissetteやSheryl Crowといったメジャーどころすら聴きません。トゲがある感じというか、男勝りというか…難しいな、単なる好みか(笑)
とにかく、男性アーティストがやっていることを女性もできるんだぞ的な部分をアピールしている感じがあまり好きではないのです(単なる偏見です
笑)。
そう考えると、ニューアルバムが出る度に聴いているBonnie Pinkは稀な存在なのですが、どこが気に入ったかと言いますと…
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初めて耳にしたのはシングル「Heaven's Kitchen」(1997年)です。
パワフルなボーカルが印象に残ったと同時に、彼女の声の「色気」が気に入ったのを覚えています。パワフルさの中に女性らしさというか…男性では表現できない切なさというか、何か締めつけられる感触があるんです、彼女の声を聴くと。これは男だから感じることかもしれませんが…
その後、アルバム「evil and flowers」(1998年)をリリースする辺りまでは動きを追っていたのですが、「Let
Go」(2000年)リリースまでの2年のブランクで一度離れ、再び火がついたのが「Tonight's The Night」(2003年)でした。諸事情で購入には至りませんでしたが、彼女の色気と楽曲が見事にマッチし、最強のポップソングに仕上がっています。この曲は本当に好きで、今でもアゲたい時によく聴きます。
そして、前作「Even So」(2004年)。
シングルカットされた「Private Laughter」を聴いた時、その迫り来る「切なさ」に度肝を抜かれ、リリース日にCDショップへ買いに走りました。
前作の特徴は、何と言っても突出した楽曲の多さでしょう。シングル「Private Laughter」「Last Kiss」はもちろん、オープニングから4曲目までの流れ(「Private
Laughter」「Ocean」「New Dawn」「5 more minutes」)は完璧。楽曲のバラエティ、緩急、そして色気がこれでもかと凝縮されています。
そして、8曲目「1・2・3」と9曲目「Last Kiss」。「1・2・3」は「オリビア・ニュートン・ジョンのフィジカルか?」と思わせるポップソングですが(笑)、この後に「迫り来る切なさの象徴」である「Last
Kiss」が来ると、気が抜けてしまいます…
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さて、「Golden Tears」ですが、前作の入れ込み方に比べれば少々引いた感じはありました。ファーストシングル「So
Wonderful」は非常に「っぽい」サウンドで笑みが出るのですが、一発で覚えてしまうメロディを持った「これ!」という楽曲が見当たらず、最初の印象が地味だったのです。
でも、印象って、聞き込むうちに変わるものです(人間と同じです 笑)。今では「Even So」よりも気に入っています。突出した曲が前半に集中し過ぎて、アルバムとしてのトータル性には不満だった「Even
So」に比べ、「Golden Tears」の方が流れは明らかにいい。同じ50分弱でも心地よく、しかもあっという間に過ぎていくのが「Golden
Tears」です。
楽曲はバラエティに富んでいます。生ドラムと打ち込みで変化をつけたリズム、リフを効果的に使ったギターサウンド、80年代ポップスでよく聴かれた派手めのキーボードサウンド。この辺りが、アルバムを色付けしています。
例えば、5〜7曲目の「Mirror」「日々草」「Robotomy」。これまでのパターンなら、3曲ともアコースティックテイストにしていたと思います。
それを、「Mirror」はそのままアコースティック調に、「日々草」はキーボードでポップに、「Robotomy」はドラムの生音とサビのギターで小ユニットのバンドっぽく、それぞれ仕上げています。
前作の中盤は同じような曲が重なってタルくなってしまいましたが、今回はアレンジで曲調に変化をつけることで、単調になるパターンをうまく回避しています。
他にも、4曲目「Addiction」と13曲目「Believe」はハードロックなテイストの曲ですが、嫌なロックっぽさが残らないのは、トーレ・ヨハンソン(Tore
Johansson)のプロデュースという部分が大きいと思います。それは、ロック調にアレンジされた他の楽曲でも言えることです。
誤解を恐れずに書けば、これまでのBonnie Pinkのアルバムは、曲調が似通ってしまう部分がありました。曲数を揃えるには仕方ないし、それはどんなアーティストにも共通することです。
しかし、今回もその傾向はあるものの、アレンジでうまく楽曲を色付けすることで、起伏に富む作品に仕上げています。そういう意味では、Bonnie
Pinkのアルバムで最もまとまりのある約50分の「作品」になったのではないでしょうか。
こういう作品に仕上がったのも、きっとBonnie Pinkとトーレの信頼関係がこれまで以上に確固たるものになり、うまくチームになったから…というのは言い過ぎでしょうか?
ただ、トーレが彼女の良さをどう出せばいいか分かってきたのは確かでしょう。聴いていて、本当に気持ちのいいアルバムに仕上がっています。
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彼女の魅力である色気のあるボーカル、独特の切なさは健在です。一番気に入ったのは「Coast to Coast」。これでもかと色気を感じます(笑)
でも、前作の突き刺さる感じの切なさが、今回は柔らかめになっている気が…プライベートが充実しているからなのでしょうか? その辺りを、昔のアルバムと聴き比べるのも面白いかもしれません(笑)
何事も第一印象だけで判断するのはよくありませんね。みなさんも注意しましょう(^▽^)
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