2006/2/7
ハマる女の条件
〜 嶋野百恵 - abstract career 〜

 ボクの大好物は「切なさ」です(笑)

 「ハッピーエンドなんてありゃしない。そんなものはいつかなくなる」

 そう思っているので、典型的なラブソングとかハッピーエンドな曲は聴きません。もちろん、例外はありますよ、例外は(^_^;)

 で、その切なさを巧く歌詞にしてくれるのが嶋野百恵。
 ここ最近まったく音沙汰がなかったのですが、先日「abstract career」なるベスト盤をリリース。
 持っている音源は多いのですが、新曲があるらしいし、スターリングサウンドのTom Coyneが全曲マスタリングしていると言うし、さっそく買うことに。

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 これまで紹介してきた傾向を見てもらえれば分かりますが、R&Bものはあまり聴きません。きっと洋楽ロックから入ったので、自分の体内に擦り込まれたリズムがシンプルな8ビートだったからでしょう。ファンクは好きですが、それもロックに通じるテイストを感じるからに違いないと。

 ところが、ラップ入りだろうが、ブラックコンテポラリーっぽい作りだろうが、彼女の場合は別。
 特に好きなのは2枚目のフルアルバム「Roots」。シングルカットされた「Hot Glamour」「Next Lounge」は秀逸です。

ゆうべ投げつけた あたしの言葉はその心を
どれだけ傷つけ どれくらい 曇らせたの
〜Hot Glamourより〜

ここまでしても まだ別の女を守るの?
あわれだと言えば 少しは響く?
〜Next Loungeより〜

 聞いた当時、この言葉のセレクトにかなり衝撃を受けました。
 J-POP、とりわけ女性アーティストの曲はたいてい、相手への思いが重なって…とか、切ない思いといった題材が多く、万人が共感できそうなものが多い。
 しかし、嶋野百恵の歌詞の世界観は、剥き出しで、取り乱していて、強気で、刹那的…かなり生々しい。そこにグッときたわけです。

愛しがいなどない
そんなものすぐに 消えてあぶくになるわ
〜Creamより〜

 この前、Rhymesterの深夜ラジオでゲストに出演した時、「実体験を歌詞にしてる」と話してました。冗談かもしれませんが、彼女の歌詞を聴くと、なまじ嘘でもないなと思えてしまいます。

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 色っぽさ。ある種のエロさ。
 これも歌詞の特徴だと言えます。かなり肉感的な表現もありますが、たいてい言葉から情景が浮かんできます。しかも男女の距離間…普遍性ではなく、瞬間の心の動き…をうまく描いています。ボクはここにエロさを感じます(笑)

悪気のない 火曜日の街が 眠ってしまう前に
ハンドルから その左の手を 私へと伸ばして
〜Next Loungeより〜

 乗っているのは右ハンドルの車。ブラコン系にありがちなアメ車な世界ではありません。決して背伸びしていない(笑)
 でも、運転中にエロいことはしちゃいけません。事故の元です(爆)
 あ、でも伸ばしているだけ…だよね、伸ばしてるだけ(^_^;)

 こういう表現は、映像が浮かんでないと、言葉にするのが難しいと思います。語呂合わせで作っていると、あざとさが出てしまいます。でも、そういう気配は感じません。
 男女間の微妙な探り合い…普遍的なテーマではなく、日常を切り取ったような表現…を言葉にできるソングライターはなかなかいないと思います。男のボクにも、「あー、そういうところ突く?」と思わず頷いてしまうものも多い。この辺り、女性にはどう受け止められるんだろ?気になります。

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 彼女の曲は男女間の恋愛について書かれた曲ばかりですが、愛を高らかに唄い、恋に悩む典型的なラブソングとは一線を画します。彼女がメジャーな存在になっていない理由は、この辺にあるような気がします。
 そして、自分の分身を歌詞にするという意味で、多産ではない。だから、1998年のデビュー以来、シングル11曲、アルバム3枚(オリジナルのみカウント)というお世辞にも「仕事してる?」という状況が生まれてしまうのかな(笑)
 まあ、どんな理由であれ、彼女が音源をリリースしてくれれば、聴いていきます。(でも、吉祥寺の大手CDショップには、いまだに1枚の在庫も置いていない!なんてことだ!)

 ドライだけど情念的。こういう女の人って、ハマるんだよなぁ。そして男は破滅する。
 でも、男はこういう女性が大好きです(笑)

<収録曲>
1. BlackEye
2. baby baby, Service
3. apple only one, only you
4. 45℃
5. Hot Glamour
6. Jr. Butterfly
7. Next Lounge
8. Lesson(With Mummy-D)
9. Cream(feat. Mahya)
10. Meeting
11. 喝采とメランコリック
12. SOLARIS
13. ためらいの糸
14. 夜明け前(feat. KOHEI JAPAN)